コウモリの超音波:エコーロケーションを知る

コウモリの超音波:エコーロケーションを知る

エコーロケーションという言葉をご存知でしょうか? これは音の反響によって物体との位置や距離を測るという能力のことです。そんな能力がコウモリにはあるのです。ここでは不思議なコウモリの能力・エコーロケーションについてご紹介いたします。

不思議な能力・エコーロケーション

コウモリやイルカが持つ能力・エコーロケーション

コウモリは夜行性の生き物なので、暗いところで素早く飛ぶには赤外線システムのような視覚能力がないと例え1メートル程度でも飛ぶことはできません。とりわけ暗い洞窟の中は、入り組んでいます。そんな中を早いスピードで飛ぶには、暗いところでも見える視覚能力が必要になります。

そうした赤外線システムに勝るとも劣らない能力が、コウモリが持っているエコーロケーション能力です。要するに自分が発する超音波の反射で障害物を避けたり、獲物を捕食することができるのです。そのため視覚自体は、皆無に等しいともいわれています。しかもその能力は、イルカにも備わっているといいます。

魚群探知機にも利用されているエコーロケーション

コウモリやイルカのエコーロケーション能力は、魚群探知機にも利用されています。この魚群探知機においても、超音波を漁船側から発することで魚群や海底の状況を判断することができるのです。例えば浅い場所では反射音が速いし、深い場所では反射音が遅くなります。それによって、魚群や海底の状況を判断することができるのです。

コウモリやイルカのエコーロケーションも魚群探知機も同じような仕組みを利用したものです。その代りコウモリやイルカの場合、生まれつき備わっている本能的な能力です。一方魚群探知機は、人間の英知と努力の結晶です。

コウモリの獲物の見つけ方・捕まえ方

エコーロケーションで獲物を効率よく捕獲する

コウモリは超音波を出しながら、その反響音を聞き取ることで獲物の位置を探知するといわれています。こうした獲物を捕獲する方法についても、コウモリが暗いところでも素早く飛ぶことのできるエコーロケーション能力を応用しているからだといえるでしょう。

おまけに一晩に数百匹もの蚊を捕食するためには、エコーロケーションの能力を効率よく利用しないと到底無理です。そのためある大学の研究チームによると、複数の獲物を標的にしながらそれら全部の獲物を捕獲するために最適なルートを選択しているといったことまで分かってきたのです。

虫を捕食するため夜飛び回る

コウモリは夜飛び回っているといいますが、それを見つけるのは困難です。それはスズメのように鳴き声を聞くことができないからです。ところが実をいうと、コウモリも鳴き続けながら飛んでいるのだといいます。ところが2万Hzを超えるような超音波なので、人間の耳に聞こえてこないだけなのです。

おまけにコウモリが飛んだり鳴き続けるのは、獲物を捕食するためです。蚊のようにゆったりと飛ぶ虫は、口を開けながら飛んで飲み込んでしまいます。あるいは素早い虫の場合には、翼で虫を叩いて気絶させると同時に翼の先にある指や後ろ足で虫を捕まえて食べるのです。

エコーロケーションのメリットとデメリット

メリット

エコーロケーションのメリットといえば、何といっても暗いところでも自由自在に飛び回ることができる点が真っ先に挙げられます。そうした仕組みを最大限に利用しているのがコウモリです。そのため例え洞窟のような暗くて複雑に入り組んだ場所でも、ものすごいスピードで飛び回ることができるのです。

おまけにコウモリは超音波の中でも特定の広帯域だけを利用しているので、他の生物が出す音と間違えることもあり得ないのです。おまけに生まれた子供は、母親から超音波の教育をすぐに受けます。そのためわずか1か月もすれば、自分で巣立って獲物を捕食することも可能となるのです。

デメリット

コウモリが人に聞こえない超音波を出すとはいっても、かなりの高周波なので大量のエネルギーを必要とします。また空中における超音波は、水蒸気や霧などが強いと著しく衰えてしまうのです。従ってコウモリのエコーロケーションは、何にも勝る能力とはいえないのです。

そうしたマイナス面の条件を考慮した場合には、近距離の障害物や獲物の情報を得るには好都合ですが遠距離の情報を得るには不向きということになります。

まとめ

例え生まれながらに備わった本能的な能力とはいっても、コウモリにしろイルカにしろ実に不思議な能力を持ち合わせているという点には驚かされます。

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