コウモリと睡眠

コウモリと睡眠

コウモリが我が家の屋根裏に住み着いてしまったら、駆除というよりも追い出すしかありません。何せ鳥獣保護法で殺傷が禁止されていますからね。また追い出す時期ですが、コウモリが冬眠に入ってしまうと動きが鈍くなるので難しくなります。

そのため冬眠から目覚めた春先から7月の繁殖時期に入るまでが絶好の期間ということになります。ここではそんなコウモリの生態の中でも冬眠に焦点を絞ってご紹介いたします。

トーパーとは

寒い冬を乗り越えるコウモリの体温調節・トーパー

哺乳類は、エサの少ない冬に入る前には必ず体脂肪をため込むといわれています。ところがコウモリの場合には、冬眠という手段でエネルギーの節約をするのです。しかしながら冬眠程度であれば、哺乳類の中にも冬眠を行うものもいます。

ところがコウモリの場合、さらに驚くような得意技を行うのです。それは周囲の気温と同じくらいに自分の体温を下げることで、基礎代謝自体も下げてしまうのです。こうしたコウモリが寒い冬を乗り越えるために行う体温調節をトーパー(鈍麻状態)といいます。

エネルギーの消費を抑えたい時には冬眠中以外にも行う

コウモリの得意技ともいえるトーパーですが、実は冬に限定した話ではありません。エネルギーの消費を抑えたい時には、いつでもトーパー状態にすることができるのです。そのためコウモリの体重とよく似たネズミに比べると、寿命が大幅に長いのです。例えばネズミが1〜3年前後寿命に対して、コウモリは3年~5年という長寿命なのです。

おまけにこのトーパー状態になると、心拍数が10~16回程度にまで低下するのです。この心拍数についてですが、休憩中には250~450回で飛翔中には800回にもなるといわれています。そんなコウモリの冬眠方法ですが、ヤマネやシマリス・ハムスターも同様の冬眠方法を行います。

コウモリの冬眠中に、コウモリの身体に起こっていること

コウモリの省エネ方法

クマなどの冬ごもりをする動物は、秋になるとエサを食べまくってコロコロと太った状態になって備えます。一方コウモリの場合には、そんなに昆虫が多いワケではないのでクマのように食べまくるということもできません。そのためエサの量を増やす代わりに、低体温・低代謝の時間を増やすことで脂肪を体内に蓄えるような工夫をするのです。

そうすることで、エサをとることもできない困難な冬の季節を乗り越えることができるのです。こうしたコウモリの独特の習性は、すでに上述したようなトーパー状態と重複する内容になります。それではクマはどうかというと、洞穴などで冬ごもりはしますが体温は下がらないので眠りも浅いのです。

冬に限らず、昼間も省エネモードに入る

コウモリは例えエサの捕獲が自由にできる夏の季節であっても、昼間の休憩中には自分の体温を下げて省エネモードに入るといわれています。さらに夏の季節が過ぎて秋になると、省エネモードともいえる昼間の休憩時間が徐々に増えていくのです。

そうすることで、余剰エネルギーを脂肪に変えて体内に蓄積するのです。とりわけ厳しい冬の季節を無事に乗り越えるためには、徐々に脂肪を体内に蓄積しておく必要がありますからね。おまけにクマのようにエサを食べまくることはできませんしね。

コウモリの冬眠のタイミング

冬眠と気温とは密接な関係がある

ある大学の研究チームのアブラコウモリに関する研究報告によると、冬眠を開始する時期は気温と密接な関係にあるのだといいます。例えば気温が20度を下回ると、活動が抑制されるコウモリが増えるといいます。さらに15度を下回ると冬眠に入り始め、10度を下回ると全てのコウモリが冬眠を開始するのだといいます。

こうした気温と冬眠の関係は、コウモリに限定した話ではありません。リスやカメなども同様の冬眠状態になることはすでに知られています。その反面、冬眠中のペット用リスを手に乗せて温めると、目覚めてしまうといったことも知られています。

アブラコウモリは家の中で冬眠する

コウモリは、冬になると昆虫が少なくなるので冬眠をしながら過ごします。そんなコウモリの冬眠場所ですが、洞窟の中や木の洞などが格好の場所です。一方、屋根裏や壁の隙間などを住処とするアブラコウモリの場合には、やはり家屋の中で冬眠します。

その代り、アブラコウモリは都会にも数多く生息しています。おまけに都会には、気密性の高いビルがたくさんあります。そんなところでは極端に寒くなる心配はいらないので、冬眠をせずに越冬するコウモリもいるといわれています。

まとめ

コウモリの賢い冬眠方法についてご紹介いたしました。そんな賢いコウモリなので、万が一我が家に住み着かれてしまうと大変です。従って、とにもかくにも家の中には侵入されないような対策だけは必須ですね。

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